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ロコ情報スペシャル!
京都篇

二条城や平安神宮などでの体験型イベントを通して、2017年から京都市とともに新たな形の文化発信を行なっているネイキッド。2022年秋には、京都の城や寺社仏閣などを舞台にリアルとメタバースがクロスオーバーする次世代型街歩きプロジェクト『NAKED GARDEN ONE KYOTO』を展開。大津市や宇治市なども加わり、京都の文化圏をひとつの“庭”と見立て、ジャンルの垣根を超えた新しい時代のアートプロジェクトを催した。ここに至るまでの経緯、その内容、これからの展望について代表の村松亮太郎さん、プロデューサーの久保哲矢さんにお話を聞きました。

アイデア先行!技術はそれを実現するためのツール
課題解決とクリエイティビティの掛け算がここに

その土地で積み上げて、広げていく

2018年に実施された「二条城桜まつり-桜の宴- Directed by NAKED」 ©naked inc.

 6年ほど前に京都市長との懇談の中で、「京都ならではの歴史的建造物や公的空間を活用した文化発信と観光促進を行なっていきたい」というお話がありました。通常、国が文化財に出すお金は補修・保全に対するものが中心で、イベントなどの新しい取り組みへの投資は腰が重い傾向があります。

 だからこそ、お金のサイクルを逆転させるためにも集客が必要となるわけです。特に、京都市が所有し大事にしていた世界遺産である二条城の夜間利用を促進し、集客数を伸ばしていくためにまずはここからと行なったのが、プロジェクションマッピングを用いたライトアップ「二条城桜まつり-桜の宴- Directed by NAKED」でした。
 最初に手掛けたイベントが成功したことにより、夏祭りや紅葉の時期などほかの季節にも展開。最初は受託式の公募型プロポーザルでしたが、より大きな成果に繋げるために、二条城の夜間イベントを民間が出資する事業モデル化する流れに変わりました。さらに、二条城だけでなく京都全体を盛り上げましょうとご提案し、今回の大きな仕掛けにつながった形です。
 というのも、さまざまな自治体と仕事をしていますが、税金を投入してイベントを行い、その時だけお客さんが増えたことで「やりました。以上です」と。そこで終わってしまうのはもったいないと感じます。その土地で積み上げて、コトを広げていかないと意味がない。
 京都の取り組みは、寺社仏閣、料亭、大学なども関わるまさに官民一体のイベントになりました。京都がどんな多様性でできているか、どれだけ価値のある場所なのかを世界に発信できる、理想的な発展の形だと感じています。

「庭」のコンセプトで、
多様な場所・ヒト・コトを育てたい

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 今回京都市だけではなく大津市、宇治市などに広がっているのは、それが“京都文化圏”だから。延暦寺は大津市にありますが、京都の鬼門とされてきた場所です。現代の自治体の切り方だと違う場所のようだけれど、もともと同じ圏内にあるもの。そして周辺自治体にとっても、人に来てもらいたいという課題はあるわけです。じゃあ一緒にやろうとなるのは自然の成り行きでした。
 さまざまな垣根を超えた「庭」というコンセプトなので、庭には椿も桜もあれば、岩も池もあって、多様性をもってつくられている。日本人には人と自然が並列に存在する、多様が共存している日本庭園の感覚を理解しやすいと思うんです。
 私たちは「庭師」だと思っています。庭の中で輝いてもらうのは、椿や桜。多くの登場人物に活躍してほしい。

〔NAKED GARDEN ONE KYOTO開催地、イベント例〕

※9月15日~12月25日にかけて約20カ所、一部メタバース連動

  • 元離宮二条城 「NAKED FLOWERS 2022 秋 世界遺産・二条城」(メタバース連動)
  • 旧三井家下鴨別邸
  • 平安神宮 「NAKEDヨルモウデ 2022 平安神宮」
  • 京都国立博物館 関連イベント「光と食のアンサンブル 花宵の宴 Directed by NAKED」
  • 貴船エリア 関連イベント「京の奥座敷・貴船もみじ灯篭」
  • 立命館大学 衣笠キャンパス クリスマスイベント
  • 宮津・天橋立ナイトウォーク

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立命館大学 衣笠キャンパス ©naked inc.

 大学でクリエイティブを教えたり、共同作品をつくったりという取り組みをもともと行なっており、今回はその関りがある中で立命館大学の学友会のクリスマスイベントを手伝うことになりました。それならば、今回のプロジェクトのなかで共創しましょうと。
 また西本願寺でアートオークションを開催する準備も進んでいます。日本でオークションというと手の届かないイメージがありますが、元来は教会裏で不要になったものを無駄にせず人に回すために発生した文化です。
 このオークションプロジェクトは、日本でも一般の方が、自分にとって必要なものを正当に評価し、自分が評価するものを手軽に購入できる文化を作っていく取り組みをされている方と共に作っています。今回は、メタバースの中で誰もがNFT作品をオークション形式で購入できる企画も行います。
 京都でこの文化が根付けば、蚤の市のような気軽さでもすごいお宝が出てくるかもしれません。おもしろいオークションになる可能性の場所で成長させたいと考えました。