ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSについてのお問い合わせ
【CM情報センター】CMの二次利用についてのお問い合わせ

現在、電話・FAXでの受付を停止しております。
詳細は、「CM情報センター」ホームページをご確認ください。

刊行物

TOP > 刊行物 > ACC会報「ACCtion!」 > 広告ロックンローラーズ

第二十八回 広告ロックンローラーズ
コピーライターズサミット2022・G8
「8人の巨匠が箭内道彦と語る」

8人で641歳。平均年齢が80歳を超える爺8が、箭内道彦と語る。
クリエイティブのこと、コピーのこと、年を重ねること。世界のこと。

<出演>
秋山晶、大島征夫、小田桐昭、葛西薫、操上和美、副田高行、細谷巌、宮崎晋
箭内道彦
※本記事は、2022年10月10日に開催された「TCC60周年 コピーライターズサミット(渋谷区役所15F スペース428)」で実施したプログラムを収録したものです。

箭内: 今回はTCC60周年記念イベント「コピーライターズサミット2022」の会場からお届けします。このセッションは「G8(ジーエイト)」というタイトルで、70代、80代になっても走り続けている僕が大好きな方々に集まっていただきました。
ただですね、残念なことに細谷巖さんがいらっしゃらない。用事があるんじゃないです。どうしても恥ずかしいとおっしゃいまして……。メッセージを預かってますので読みます。
「このたびは私用につき、せっかくの会を欠席する形となってしまい申し訳ございません、おこがましいですが簡単なコメントをさせていただきます。ご存知のように不安な時代です。国内外のトラブル(ウクライナのこと、おかしなウイルス、北のロケットおじさんのこと)。まるで二酸化炭素を吸って生きているようです。気持ちが沈むような日々ですが、フレッシュな酸素を吸いたいと思います。僕はそんなことを感じています」
以上、細谷さんからのメッセージでした。じゃあ、始めましょう。さっき楽屋トークがとても面白かったんです。今日のお話のきっかけになればと思って、「広告とは?」「言葉とは?」「いま思うこと」という3つの共通トピックを用意してたんですけど、僕、副田さんと宮崎さんからいきなり、控え室で怒られまして……。「つまんない質問だ」と(笑)。なので、もうちょっと自由な感じでお話くださって構いません。まず秋山さん、最近どうですか?

秋山: 最近? やっぱり残り時間が少なくなるにつれて、死について考えるというよりも常に死が隣にいる感じですね。そんなこと普段は全然考えないんですけど、不思議なことにコピーを書き出すとそう思うんですよ。
ただ、僕は40代の頃からずっとそう考えてきたんですよね。いつもこれが“最後の仕事”じゃないかと。だけど歳をとると、最後が当たり前になっちゃうでしょう? すると逆に「これが最後だ」という感覚を忘れてしまうんです。それを忘れないようにしようと思って、まずこのお話をさせていただきました。

箭内: 年齢に関係なく、その感覚を忘れずに生きていくのは、誰にでもできることではありませんね。

秋山: だから僕はいつもきちんとした広告を作ってきたと思います。あと今日は大島さんに会いたくてね。大島さんにも最近のことをちょっとうかがいたいですよね。

大島: 今日、秋山さんの隣でしょ? 秋山さんの後に何かしゃべるのって相当なプレッシャーなんですよね(笑)。まあ秋山さんのコピーは大好きで、この仕事をしていく上での目標のひとつだったんですけど、途中からいくつかの仕事でご一緒させてもらいました。
最近のことについて話をすると、いまの状況は楽しいです。歳をとるって悪いことじゃない。いいことだなってすごく思ってます。ただ、なんて言うのかな? いままでの生きる上での欲望っていうのか、生きがいみたいなものの形が変わっちゃうんですよね。
あんなに好きだったねーちゃんが全然関係なくなった。ほしくてほしくてしょうがなかったクルマを運転できなくなった。タバコも吸っちゃいけないって言われてる。残ったのはお酒だけなんですけど、お酒がめっちゃ美味しいんですよね、いま(笑)。本当に幸せなことに、大好きなお酒がそのまんま仕事にも続いてる。申し訳ないくらい気持ちよく生きさせてもらってますね。

箭内: 小田桐さんはいかがですか?

小田桐:僕はなんとか働いています。副田さんや宮崎さんが、箭内さんの提案した問題が面白くないっていうふうにしきりに言ってましたけど、僕はとってもいい問題だと思いました。「広告とは?」なんて問題を真っ正面から考えたり、言葉にしたことはあまりなかったなというふうに思って考え始めたら、ゆうべちょっと眠れなくなったくらい。
僕は広告に対してとても真面目ですから、あまりおちゃらかしができないんですけど、この問題をみなさんがどう考えるかも知りたいですね。もちろん、ちょっと恥ずかしい面もありますが、我々は年齢を重ねていますから、わりと恥ずかしくなく言えるのかなと。

箭内: 副田さんと宮崎さんは70代ですから、この中ではまだお若い組です。あと葛西さんも。

葛西: ええ、さっきから副田さんがしきりに「自分が最年少だ」って言い張ってますけど、たった3ヶ月しか違わない。僕も比較的最年少なんです(笑)。で、こうやって小田桐さんと操上さんのあいだに挟まれてますけど、お二人とも北海道なんですよ。偶然にも。

箭内: そっか、北海道出身の3人が並んでるんですね。操上さんは最年長ですが。

操上: 細谷さんがお休みなので僕が最年長になりました。この歳で最年長というのは、この会は相当若いんですね(笑)。隣の葛西さんには、仕事の関係でずいぶん長いあいだお世話になりっぱなしで、いまも分厚い写真集をお願いしていて、すごい楽しみなんですけど。
まあ、僕はこのメンバーの中では唯一写真家ですから、TCCのみなさんには縁遠いかもしれませんが、長いあいだ写真を撮りながら広告に携わって、テレビCMの演出もしてきましたからね。テレビのコマーシャルもコピーが入って何倍にも良くなる場合と「えっ!? そのコピーなの?」っていう場合がありますよね。ですから、写真家にとってコピーライティングは重要で、デザインとコピーに助けられ、自分の写真が何倍にも何十倍にもなって、最終的に決着するという日々を送っております。