箭内: なるほど。ちょっと腑に落ちたのは、確かに浅葉さんのデザインって、ローカリズムでもありインターナショナルですよね。
浅葉: いまはあまり海外行かないですけど、昔は中国なんてしょっちゅう行ってました。ずいぶんいろんな国に行ったんですよ。あと北極とか。
箭内: 北極? そういうのは広告の撮影ですか。
浅葉: それもあるし、卓球もあるんです。
箭内: 卓球も(笑)。浅葉さん、また話飛びますけど、息子さん(浅葉球氏)がデザイナーとして活躍されてますね。「GOO CHOKI PAR」というデザインユニットをつくって、大河ドラマのロゴデザインをされたり。
浅葉: 3人でやってますよ。うちにもみんなで来てましたね。明日から展覧会かなあ。しょっちゅう展覧会やってますね。
箭内: 球(きゅう)さんって、卓球の球ですよね。
浅葉: そうなんですよ、でも、卓球はやってくれない(笑)。スケボーに行っちゃった。
箭内: デザインをやってくれてるじゃないですか。
浅葉: それはよかったけど。
箭内: どうですか。父と子でどちらもデザインをしていて、タイポグラフィーを探求されてるところもあって。どんなふうに見てらっしゃるんですか。息子さんのこと。
浅葉: いや、結構もう自由ですよね。デカいしね。喧嘩したらかなわない(笑)。
箭内: でもお父さんの仕事を継ぐというか、同じ道を歩むって、若いうちはいろんな反発だってあるかもしれないけど、やっぱりお父さんを尊敬してないと選ばないですよね。
浅葉: そうですね。まあ、どうしてもお父さんのほうが長いもんね(笑)。
箭内: キャリアがね。ところで最近の広告だったりデザインに対してどう思ってますか。若い人たちがつくってるものを、どんなふうにご覧になってるのかなと。
浅葉: なんか変なことやってくるのが面白いなと思います。
箭内: 僕、朝日広告賞の審査でご一緒してますけど、結構、浅葉さん、独特なものを推しますよね。
浅葉: 推しちゃうんだね(笑)。
箭内: 浅葉さんしか推さないものがあってハッとさせられます。で、またあっちこっち行っちゃいますけど……。
浅葉: あっちこっち行っちゃってください。
箭内: じゃあ、広告はどうですか。元気がないんじゃないか? とか。
浅葉: ちょっと元気ないですね。企業のやる気がないんじゃないですか? でも、これからまた出てくるんじゃないですかね。やる気のある担当が。僕の仕事もうまくいったのは、いろんな企業のやる気の担当と一緒にやってるんですよ。担当のやる気があるとうまくいく。
箭内: その担当の人と浅葉さんの関係性ってどんな感じなんでしょう。
浅葉: まずは酒でしょうね(笑)。
箭内: まずは酒(笑)。それ、いいですね。いまはお酒は?
浅葉: いや、あんまり飲まないですね。
箭内: でも、卓球のほうは…
浅葉: やってますからね。
箭内: やっぱり卓球でつくったカラダというか足腰が。
浅葉: 自然と動いちゃうんです。ただ、こないだも試合出たけど、バックハンドは動いても、フォアハンドは思うように動かないですよ。負けましたね。
箭内: 試合もされてるんですね。浅葉さんご自身、ずっとこう変わらず走り続けてらっしゃいますけど、いまの時代だからこそ、やらなきゃって思ってることとかありますか。
浅葉: ちょっと元気がないから、元気をつけてあげたい。たとえば西武百貨店なんかは店がありますからね。社員もあまり変わってないし、もう一回やれば? って言ってるんですけど。
箭内: これからについてはどんなふうに考えてらっしゃいます? いくつぐらいまで仕事したいと思ってるとか。
浅葉: 死ぬまでやらなきゃしょうがないんじゃないですかね。
箭内: まあ医学もどんどん進化してますから。
浅葉: 100までいけたらいいなと思いますけどね。
箭内: 行けそうですよね、100まで。
浅葉: このあいだ、篠田正浩監督が亡くなりましたけど、94歳でしたよね。僕に映画を教えてくれた方なんですけど。
箭内: 映画を教えてくれたというのは、どういう感じですか。映画の見方?
浅葉: いや、つくり方。『写楽』とか『梟の城』『スパイ・ゾルゲ』。美術監督とアートディレクションで4~5本ご一緒させてもらったんですけど。なかなかアートディレクターが映画までやらないですよね。


箭内: 浅葉さんに何を頼むのか。さっき担当っていう話もありましたけど、頼む側の力も問われそう。最近思うこととかありますか。
浅葉: まあ、最近静かですけどね、わりと。
箭内: 昔、応援団みたいなことされてるの、僕、どなたかのオープニングで見ましたけど、静かじゃなかったですよ。三三七拍子とかエールとか。
浅葉: またやってほしいと言ってきてますけど。


