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座談会 チャレンジで広がるラジオCMの世界

型のないふたり

中嶌それで澤本さんはしめしめと?

澤本しめしめというか、僕はCDなので、普通は原稿を事前に読んで、「東京ガスさんが伝えたいのはこういうことだから、こう変えたほうがいいんじゃないか」とかある程度修正するんですよ。でもおふたりのは、修正したらつまんなくなってしまうなと。そのままほぼ修正なしで。さっきおふたりが奇しくも、ほかのプランナーのを「ラジオCMっぽい」とおっしゃったじゃないですか。そうなんです、僕ら勝手に「ラジオCM」っていう型をはめて作ってるんじゃないかと思って。結局ラジオCMでその商品よさそうって思ってもらって、東京ガスを好きになってもらえれば、それがラジオCMの形をしていなくてもいいんですよ。なのに僕らは、ラジオCMってこういうもんだと習ってしまっているから。そこにふたりの作品を近づけてしまうと、代わり映えしなくなっちゃう。お笑いの人が、この20秒や40秒という秒数をどうやって使うのか。何も言わずに見てみようと。判断するのは僕らじゃなくて、クライアントだよなと。だからこのおふたりには、最低限の「こうしたら」しか言ってないです。

中嶌最後に言うタグライン的なキャッチフレーズあるじゃないですか。「どんな食卓にもドラマがある」とか、こういうのまで?

澤本僕書いてないですよ。

中嶌ほんとに!

澤本それで言うと遠山さんの、「料理で伝える」とかタグライン的な使い方してないんですよ。普通はナレーションで「料理で伝える東京ガス」ってやるところを、ナレーターなしでずっと母と娘の会話で続いていって、終わっちゃうんです。こういう提案しないでしょ僕ら。こういうのがおもしろかったですね。いかに僕らが形ってものを学んできちゃっているかという。

中嶌これ実際、グランジのおふたりはどんなふうに作ったんですか?ネタを考えてるので慣れてる部分もあるんでしょうか。

遠山普段ネタ考える時は、テレビ見たりマンガ読んだり、歩いたり自転車乗ったりしながらぼんやりずっと考えてます。今回も同じように考えました。

中嶌ネタづくりと同じ思考回路で?

遠山あとは昨年ACCの審査委員として、何百本と作品を聞いているので、実際に自分の作品がこういう場で流れた時に、西田編集長全然笑ってねえなとか、ちょっとクスッと来たなとか、そういうシーンを想像してやってみたつもりなんですけど、実際のところどうなったかわかんないんです。

中嶌秒数も意識しました?

遠山意識しましたけど結局収まらなくて。20秒のが実際は60秒になったり。

中嶌よくあるー(笑)。五明さんはいかがでしたか。

五明一番最初行った時に、紙をもらった。そこにお題があって、お風呂とお料理と、クリスマスと…。

中嶌オリエンシートですね。

五明それってコント考える上だったら、設定じゃないですか。例えば料理だったらどんな設定があるだろうとか、バーッとたくさん書いて、いけそうなのを。ほんとにコントを考えるように考えました。煮詰まって昔のネタ帳見たら意外と使えるのがあったり。グランジというトリオの中で死んでたネタが成仏できました。

遠山さん作品 「料理で伝える」篇 40秒 

SE :フライパンで何かを焼いている音

母 :…なに見てんのよ

娘 :そろそろ料理でも覚えないと

母 :あら珍しい

娘 :ねぇ、ここからどうするの?

母 :卵で閉じるのよ

SE :卵入る音

娘 :ねぇ、つぎはー?

母 :フタで閉じるのよ

SE :フタ閉じた時の音

父 :ただいま~

母 :あなたー、ご飯はー?

父 :(大分酔っ払ってる)いや~、今日はあれだよ、もう、あへあのかいしゃでさ~~

娘 :……ここはどうするのー?

母 :……

娘 :…お母さん、ねぇ、お母さん?

母 :(小声で)心を閉じるのよ

娘 :(小声で)勉強なりまーす

娘 :料理が伝える、

母 :料理で伝える、

母娘 :東京ガス。

中嶌たとえばどれ?

五明「冬将軍」篇とか。元は、冬になりそうなのに冬将軍が起きないっていうコントをしようと思ってたんですけど、甲冑が用意できないということでボツになって。そうしたらまさかの、甲冑がなくてもラジオならできるという。

中嶌ネタとラジオCMを考えるのは似てますか。

五明すごい似てると思いました。なんなら、一緒ぐらいの。見えるか見えないかだけで。