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ロコ情報スペシャル!
(青森篇)

「青森県っておもしろい!」
ファンを増やすためのユニーク企画

パズルゲーム「ぷよりんご」や、WebCM「AOMORIVERSE-アオモリバース-」など、デジタルを活用したユニークな施策のほか、アオモリックキューブといったみんなが挑戦したくなるようなおもちゃが県から発信されている。おもしろいアイデアはどのように生まれているのか?

ゴールは、実際に青森県を体験してもらうこと

2004年度、「まるごとあおもり情報発信グループ」が発足し、県内の情報をブログで発信するなどの取組がスタートしました。青森に住む県職員だからこその、大きなイベントからニッチな情報までを掘り起こし、県内外に発信していくというコンセプトです。
同じコンセプトを掲げつつ、時代に合わせてFacebook、X(当時Twitter)、Instagramと発信するSNSを増やしていきました。

県内のさまざまな情報を発信するサイト
「まるごと青森」
リンゴ認証

一番最初にバズったのは、「りんご認証」と呼ばれる投稿。
「青森版『私はロボットではありません』画像選択の画像です」「ふじの画像をすべて選んでください」と、9枚のりんごの絵を並べた写真をアップしました。県民ならわかるでしょ(笑)と遊び心で。難しすぎると話題になり、これがメディアにも広く取り上げられた最初の例だったかと思います。
イベントや地域の魅力を発信する一環で、「青森県っておもしろいことするね」と楽しんでもらえるつくりにしたかった。これは、県内で栽培しているりんごの種類がこんなにもたくさんあることを知ってほしいというねらいもありました。

どの施策も、青森県のファンになって、実際に来ていただくことが目的です。きれいな景色を見て、おいしいものを食べて、青森県を体験して満足していただけるようプロモーションを展開しています。
もちろんSNSだけではなく、広報番組やキャンペーン、店舗営業といったさまざまな施策をとっています。みなさんに話題にしていただいたクリエイティブは、その切り口のひとつです。

アイデア勝負!なユニーク施策

2年前、パズルゲームの「ぷよりんご」がバズって多くの人の目に触れました。セガが展開している教材を利用した、「ぷよぷよ」のりんご版です。(2022年度ACC賞ブランデッド・コミュニケーション部門でブロンズ受賞。)
「りんごと言えば青森」というイメージを、より持っていただけたかと。とはいえ同じようにりんごが有名な長野県さんとコラボもしています。今年の“ライバルが手を結ぶ日”(2023年1月21日)に合わせ、SNS上でお互いのリンゴを褒め合いました。
担当同士それまでコミュニケーションを取っていたわけではないのですが、実は相互フォローの状態だったので話はスムーズに。ライバル同士、相乗効果でがんばっていきたいとこちらからお声がけしました。結果、インプレッション数も多く、好反応をいただけました。 

ライバルと手を結んだりもする青森県
板状土偶神経衰弱

昨年は、WebCM「AOMORIVERSE-アオモリバース」をリリース。青森の美しいみどころを、“異世界のような魅力”として紹介しています。ヘッドデバイスいらずで非現実的な世界観を堪能できるとして、主人公の頭をよく見ると装着しているのはホタテの貝殻。ゲームさながらの人間の動きがユニークです。
Instagramでは「#アオモリバース」で自分の写真を投稿してくださっている方もいて、こちらでも拾い上げてハイライトでまとめています。動画の第二弾はとくに計画されていませんが、この動きがより広がればいいなと思っています。

「AOMORIVERSE-アオモリバース」では、仮想空間のように美しく、リアリティ溢れる体験を紹介!

発信全体を通して、県内からも「こんな情報知らなかった」「これを見て県を誇りに思う」という声が届いています。県外の方にお越しいただくことに加え、住んでいる方がより青森県を好きになるきっかけをつくれたら。
もちろん、今いただいている評価や数字的な結果はSNSの効果だけではなく、県庁内の様々な課で取り組んでいる施策の複合的な結果です。

SNS担当者の日々の目線
中の人の青森愛

月に一度、グループ全体の定例会にアイデアを持ち寄っています。広告会社や制作会社、インフルエンサーなど外部のアドバイザーの方にも入っていただいて、発案したり、アイデアをよりおもしろくするためにどうするか、出し方はどうするかと話し合います。
定例会だけでなく、デスクで近くのメンバーに「こういうのどう思う?」とラフに話すことも多々。青森県のファンになってもらうための、青森県ならではのアイデアを出しています。どんどん出てくるので、「次はどれをやろう」という感じです。
SNS担当者としては、SNSに関して誰よりアイデアを出したいところ。日々、目についたことや世間で流行っていることなどを「青森に置き替えたらどうなる?」と考える癖がついています。おもしろいアイデアを発信している方をフォローしたりと、発想の方向性を参考にさせてもらうことも。

だいたい年のはじめにざっくりしたスケジュールを確認し、「この時期にはこの祭り、この時期にはこの果物」と決まっているものを落とし込み、発信の目安をつくります。また日常の業務の中で、「これが話題になっているから」「こんなイベントがあるらしいから合わせて」とアップデートをしています。
昨年、「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録1周年を記念した何かを出そうとなりました。できあがったのは、オンライン上のカードゲーム「板状土偶神経衰弱」。三内丸山遺跡で発見された板状土偶で、神経衰弱のゲームができます。その変わった形を紹介しつつ、似た顔が多いので難易度が高いところがミソ。これも話題となって、各種メディアに取り上げられました。
先日は、『バカ塗りの娘』という映画の公開に合わせて急遽動画を作成しました。「バカ塗り」というのは津軽塗という伝統工芸品のつくり方で、塗っては研いでをひたすら40工程以上繰り返します。これに合わせて、青森のご当地グルメ「イギリストースト」という菓子パンに、ひたすらあんこやクリームをバカ塗りするという動画をつくりました。本当にギリギリに「つくろう!」となったので、アイデアはもちろん買い物から編集まですべて自分たちで手作り。
イギリストースト、青森にお越しの際はぜひお土産に買ってみてください。

この課に異動してくる前は県産品の輸出を担当しており、クリエイティブとは縁のない仕事でした。ただ、そのころから「まるごとあおもり」のブログ読者だったので、「自分だったらこういう風に発信したいな」とイメージすることも。希望をして異動が叶い、大変なことも多いですが楽しんで仕事をしています。
県内各地の取材に赴くので、青森愛はいや増します。出先でかわいいお土産を見ると、「仕事にもなるから」と財布のひもがゆるゆるに。
発信する中の人の「愛」は伝わるもの。また異動で別部署に移る日も来ると思いますが、いろいろな人がここを担当して青森のことをより好きになることもまた、県にとってプラスなことだと思います。

目の前に対象がいないSNSでの発信は、出してみないとわからない難しさがあります。「絶対うける」と思ってもそれほど反応がよくなかったり、逆に「当たり前の日常」として出したものが話題になったり。
ただ、思いもよらなかったことに対して反応がいいケースを見ると、青森県にはまだまだたくさんのネタが転がっているのだと実感させられます。その点でも、青森県外に住むアドバイザーの客観的な視点を取り入れることに意義を感じます。
今年出したルービックキューブのりんご版、「アオモリックキューブ」も大きな話題を呼びました。開発した私でも1面も揃えられないという難しさ。とりあえず、普通のルービックキューブの練習から始めているところです。「ほしい」と言ってくださる方が多いので、今後商品化も計画しています。
話題だけでは終わらない、青森県発信のムーブメントを増やしていきたいと取り組んでいます。

text:矢島 史

青森県 観光国際戦略局 観光企画課
まるごとあおもり情報発信グループ/主査
三上 悠維

平成25年青森県庁入庁。総務部などを経て、令和4年から現所属。主にSNSを通して青森県の魅力を発信する業務を担当している。
日常からアイディアを拾って形にすることに日々奮闘中。最近作ったネタは『津軽弁クロスワード』