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クリエイターのアイデアをいかにそのまま世に出すか

―山内ケンジ監督について。

静岡のローカルCMが面白いと言われるのは、山内監督の「パチンコチェーン コンコルド」の存在が大きいと思います。当社も、半分冗談で「打倒コンコルド!」というくらいの気持ちでCMを作ってきたんですけど、澤本(嘉光)さんに山内さんにお願いしましょうと言われて、社長に聞いたらあっさり「いいんじゃない?」と(笑)。それもひとつの「超える」ではあったんですが、結果大正解。撮影は演出コンテどおりに進んでいましたが、ワンカットワンカットのインパクトが強烈で、見ていて「大丈夫かな…」とだんだん恐ろしくなりましたよ。コンテに目を通した役員も、ここまでのイメージは持てていないだろう、試写で何か言われたらどうしよう、と。おじいさん二人が出てきた時点で「うわ!」「歯がないな!」とか…。普段は社長が立ち会うのですが、この日は都合がつかなくて私だけだったので。

―それでも口は出さないんですね。

出しません。ただ、最後の最後まで戦っていたことはあります。セリフの中に「オレ新聞」「オレテレビ」とあるのですが、うちはラジオとも一体感を持ってやっているんです。だから「テレビ」じゃなくて「放送」にしようと役員会で決まっていて、電通さんにもお伝えしていたんですよね。でも演出コンテでも撮影でも「テレビ」のままで、「あれ?言ったよね?」と。スーパー(字幕)でなんとかすればいいかと思っていたのだけど、澤本さんは、「メディアとしての新聞・テレビの擬人化であるから、“放送”とするのはやりたくない」と。本編集の最後の最後まで、こんなに議論することがあるのかというほど戦いましたね。私は私で、社長から任されていますから曲げられない。監督や製作スタッフに囲まれながら「どうします?」「いや、受け入れられない」と…。それで案を出してもらった中に、「※ラジオも含む」とスーパーをつけるものがあって、これなら面白いからとOKを出しました。

―CMの社内外の反応は。

イギリスのBBCに取り上げられたのは驚きました。リオ五輪で安倍首相がマリオになって、日本の政治家は変わろうとしていると紹介される中で、ほかにも日本で変わろうとしているメディアがあるということでこのCMが取り上げられたんです。普段は「マスゴミ」なんて言っているネットの住人からも、自虐ネタなので受け入れてもらえましたし。そしてその社外の評価が、社内の人々を盛り上げてくれたということもあります。それまでどのCMも他人事だったのが、周りから「面白い」「すごい」とたくさん言われて、自分たちのこととして捉えてもらえたのは大きかったです。

―今後の展開について。

来年がSBSの65周年なので、もう一段超えなくてはと思っています。「フェスタしずおか」という1999年まで駿府城公園で主催していたお祭りを、来年1回だけ復活させる計画です。以前は静岡市を代表するような祭りで、「ちびまるこちゃん」にも出てくるんです(祭りに西城秀樹を見に行く回)。私も子どもの頃行っていましたし、みんなの心に残っているイベント。社員にとっても、総出で取り組んだ手作り感のあるお祭りでした。それ以降全社員が関わるようなイベントがなくなってしまって、またやりたいという声もあるんです。県民からも「復活するんだって!?」と反響をもらっています。来年8月19,20日、「超ドS」の集大成になるこのイベントに向けて、メディアの活用や県民の巻き込みを色々仕掛けていくつもりです。

―まさに「文化を作る」ですね。

振り返ってそうなってたらかっこいいですけどね! CMのおじいさんが言っていたけど今でもそうだねとなったら嬉しいです。

text:矢島 史