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~クリエイターわらしべ物語~

垣根を壊して

―言ったもん勝ち。それでできちゃうんだもんなあ。でも、お聞きしていると順調な感じですね。
もっとわらしべ感が欲しいなあ(欲しがり)。

 生活に困るまでのことはありませんでしたが、当時、MVの監督って広告業界から下に見られていたんですよ。「PV監督」とか言われちゃって。これはなんとかしたいと感じていました。MVとCMと、両方の垣根を壊したいという思いから、CMの現場では「MVやってます」と言って、MV撮る時は「CMやってます」と話していました。

―たしかにご一緒した時も、初めてのタイプの監督だなと思いました。スタッフに「赤いものを持って集まろう」
「撮影に使用されたら1万円贈呈」なんておっしゃって、新鮮で楽しい現場でした。

 やっぱり亜流のPV監督として、どこかぶっ壊してやろうという気持ちがあったんですね。それは、今でも思っています。ディレクターの仕事は、「この撮影現場は楽しそうだな」と思えるようなコンテを描くことだと思いますし。

―昨年は「リオ2016オリンピック大会閉会式東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー」でACC賞インタラクティブ部門のグランプリも獲得しました。

 子どもの頃に見たロス五輪の開会式が衝撃的で、オリンピックに関わってみたいと公言はしていたんです。実際のところ、「夢が叶った!」なんて言っている余裕はまったくなくて、マズイもの流せませんから、無我夢中でつくりました。

 ACC賞と言えば、今年狙いたい作品があるんですよね。「チャレンジふくしまプロジェクト」でつくったミュージカル『MIRAI 2061』です。これは、箭内道彦さんから「福島の『ラ・ラ・ランド』をつくってよ」と依頼を受けて、初めて挑戦したちゃんとしたミュージカルなんです。主演の清野菜名さんと子役の豊嶋花ちゃん、そのほか共演者の方も本当にすばらしくて、是非見てほしい。受賞すれば、人目に触れる機会を増やせます。UNIQLOCKも、受賞をきっかけに見てくれた人も多かったので、そう考えると賞とはとても大事ですよね。この作品にACCが賞を与えることで、福島が未来へより進んでいくことができる!

―圧かけてる(笑)!どれくらいの長さの作品なんですか?

 ちょっと長いんですよ、7分を超えています。今、ネットの動画は5分や3分以内でと言われますけど、悔しいですね。尺は関係ないと言いたいです。

未だ、下積み

―では、UNIQLOCKで華々しくブレイクしてその後も怒涛の勢いの児玉さんが、今後やりたいことは。

 いや、僕はブレイクしてないです。

―はい?

 一生ブレイクしたくないというスタンスなんです。実際、ずっと下積みみたいなものですよ。この間、映画『クソ野郎と美しき世界』のEPISODE.04を撮ったのですが、専門じゃないから何かと勝手が違ったんです。それは勉強になるし、楽しいことですけれどね。やったことのないことをやるって、いいですね。下積みというより、勉強と言ったほうがいいのか。
 そして僕はCMがとても好きなので、今まで通りCMを撮っていきたいです。短い尺でキュッと箱庭をつくったような世界、完成した世界をつくっていく快感があります。CMはもうあまり見られていないと言われるけれど、パッと一瞬で話題になるのはテレビCMが多いですよ。興味のない人にも見せられるというのが、つくり甲斐があるところ。また、CMとMVの垣根がなくなってきているのもいいですよね。
 上手くなったら、映画のような一本をつくってみたいです。前述の映画は、僕が担当したのは25分くらいなので、いつかフルで2時間やってみたいです。それが2時間のCMでもいいんです。これ、どうでしょうね?こっそりではなく、堂々と「これはCMです!」と言いながら、ちゃんと映画として機能している2時間をつくったら。

―いいかも!私もそんな提案してみたいです。最後に、若い人へのアドバイスをいただけますか。

 やれる時にやっておけ、ということでしょうか。いつか体がついていかなくなりますからね。あとは、最後まで完成させて誰かに見てもらうことは大事かなと。見せて何かを言われた時に、「いやここは」と言えるのか、それとも「なるほど」と直すのか。その取捨選択を重ねることで、自分の中の意見が固まってくるんですよ。頭の中で否定したり肯定したりしていくと、良いものと悪いものがスッキリと整理されていきます。

―このインタビューは成功者の自虐ネタが売りなのに、はじめて聞き出せなかった気がします。どんな苦境をも「楽しい」に変えてしまう。それが児玉さんなんだとつくづく思いましたよ。

text:矢島 史  photo:佐藤 翔

児玉 裕一(こだま ゆういち)プロフィール

映像ディレクター。1975年生まれ。東北大学理学部化学系卒業。大学在学時より仙台にて映像制作の活動を開始。卒業後、広告代理店勤務を経て独立。以後フリーのディレクターとしてCM、MVなどの演出を手掛ける。2006年「CAVIAR」に所属。2013年「vivision」設立。
2007年に公開されたUNIQLOCKでは世界3大広告祭(カンヌ・Clio・One Show)グランプリを獲得。

児玉監督から読者プレゼント!

写真のvivisionオリジナルのマットを、ご応募いただいた方の中から1名様にプレゼントいたします!
ご応募の際には、児玉監督が手がけられたショート・ミュージカル・ムービー
MIRAI 2061』の感想を必ずご記入ください。

当選された方には後日、事務局よりご連絡させていただきます。
なお、大変申し訳ありませんが、ACC事務局でのお受け取り可能な方、もしくは着払いでの発送をご了承いただける方に限らせていただきます。

■応募期間
 2018年6月1日(金)~6月29日(金)当日消印有効

■応募方法
 以下のどちらかの方法でお申し込みください。
 ①応募フォーム ②ハガキ

■ハガキでご応募いただく際の記入事項
 ①名前④役職
 ②企業・団体名⑤メールアドレス
 ③所属部署⑥『MIRAI 2061』の感想

■送付先
 〒105-0003東京都港区西新橋2-4-2 西新橋安田ユニオンビル6F
  ACC事務局 会報担当 宛て