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 ブロードバンド時代を迎えて、メディア観点から、2つの面で大きく変化しています。一つはクライアント自身がメディアを作ってしまうタイプ。最近これがどんどん増えています。
 もう一つは、既存のインターネット・メディアがブロードバンド化して、広告スペース自体がブロードバンド広告枠として成立してくる、ということです。
 ブロードバンド人口は約660万人(2002年10月)。インターネット人口3500万に比べても、また日本の全人口からいっても微々たるものです。
 しかし、これを他の広告メディアと比べると、関西エリアのテレビ局の視聴者数、あるいは朝日、読売新聞の東京・関西版の合計部数などに近い数であることを考えると、ブロードバンドも、メディアとしてあなどれない数になっています。
 ブロードバンドを切るキーワードは、3つ。「大容量・高速」「常時接続」「定額制」です。ブロードバンド化することにより、生活者体験やその価値がどのように変化するかを考えると、従来のインターネットでは「まだ画像が出ない」など、いらいらしてストレス感があるが、ブロードバンドで「大容量・高速」化することによって、このいらいら感が軽減されます。気軽にボタンを押せば何か情報が出てくるという、引き出しの早さによってインターネットが次のステージに入ったのです。
 また、「常時接続」「定額制」によって、生活者のネット接触時間がどんどん増えます。メディアの接触時間は全体として増加しますが、ネット接触時間の増加が既存メディアの時間、特にテレビの接触時間を食うという状態になります。
 また、「常時接続」では、パソコンは立ち上げっぱなし、インターネットは繋ぎっぱなし、テレビもついているという、ダブルスクリーンの状態になっている。これからのテレビCMはダブルスクリーンということを前提にしたクリエイティブやコミュニケーション・プラニングが重要になってきます。
 現状では、ブロードバンドは広告に結びついたビジネス・モデルを持っていないものが多い。広告業界は新しいメディアやコンテンツを、広告メディアとしてどう取り込んでいくかを考えなければなりません。
 例えば、インスタント・メッセンジャー。これは、電話、携帯電話、電子メールに続く新たなコミュニケーション・ツールです。これは、日本だけではなく、世界中のいろんな人達とつながるという状況ができています。これ自体は広告モデルではないけれども、こういうものがテレビその他の広告メディアの接触時間を食ってしまう可能性が高い。今後こういうものをアド・メディアとして取り込んでいくことが重要になってきます。
 インターネット・ラジオは、日本ではまだ出ていませんが、メディアという観点から、私がいま一番注目しているメディアです。これは、インターネット上の有線放送のようなもので、チューナーのソフトウエアが配布され、これをダウンロードすると自分の好きな曲が、無料で聴けます。デジタルなので、音質もクオリティが高い。既存のラジオとの一番の違いは、ジャンル別編成になっていることです。例えばクラシックを聴く人と若者向けのポップス・ミュージックを聴く人は、明らかにターゲットが違う。インターネット・ラジオはジャンル別編成によってターゲットを分けるメディアとして成立しています。これも広告モデルはまだできていませんが、作業をしながらBGMを聴くのに非常にいいので、この1年くらいで普及するメディアではないかと思います。
 制作サイドも変化しており、デジタルに特化した制作者やプロダクションが出てきています。例えば、イギリスのUnit 9というグループ。デジタルに特化したものなら何でもやりますというプロダクションです。
 インターネット・ビジネスでは、何でこんなに安くて仕事をするのだろう、と思うくらい、価格競争とダンピングが進んでいます。ネットの世界はダンピング合戦を繰り広げてきた業種の人たちが参入しているので、制作物に関しても、クリエイティブを含めて作業工数が金額になっていて、クリエイティブそのものでは金額がなかなか上げられない。既存の広告業界以外からの参入が多く、ブロードバンドには、扱いの難しい面があります。


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