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『4K・8KTV研究会』
~NHKのスーパーハイビジョン・ハイブリッドキャスト見学~

技術委員会の研究会風景 2013年夏、ACC技術委員会では、NHK技術研究所を訪問し、同所が開発中の8Kスーパーハイビジョン(以下SHV)の見学、研究会を行いました。

TVCM映像は、ようやくHD(2K)での制作がスタンダードとなりましたが、巷では4K(HDの4倍)、8K(同16倍)といった、さらに次世代の映像フォーマットが出現しつつあります。(実際CMにおいても撮影のみ4Kカメラで行うケースが増えています)

去る5月にNHK技術研究所(以下技研)の一般公開があり、SHVをはじめとする各種技術紹介を技術委員長、事務局で事前視察してきました。
※NHKにおける「SHV」とは8K映像のみをさす言葉であり、4Kは既に完成された技術としてとらえている、とのこと。
その結果を鑑み、後日の委員会で研究希望テーマ案をまとめてみました。

1.4K・8Kテレビ放送は実現されるのか?技術的な課題は?

率直な感想として、4KTV・8K映像のクォリティは現行のHDに比べて圧倒的に高画質である。我々CM関係者にとっては、やはり「この画質がTVで放送されるのか?家のTVで見られるのか?CMもこのクォリティになるのか?」ということが大きな興味のひとつである。チャンネル帯域割り当ての問題等、行政寄りの課題も多いかと思うが、今回は技術的見地からの「放送時のクォリティ」についての情報を得たい。

2.4K・8K映像ならではのまったく新しい「見え味」とは

SDがHDに移行した当初、圧縮伝送や受像機の性能の問題からか、思っていたほど綺麗ではない、アナログSDとあまり変わらない、という感想も聞かれました。4K・8Kの放送画質は、現行のHDとは全く別次元の高品質となるのか?また、毛穴や小じわ、セットの汚れなどといったネガティブな類ではない、HDで見えなくて8Kで見えるものとは何だろう?といったこともディスカッションしたい。

このような趣旨を予めお伝えしたうえで、7/26、委員のみなさんとともに、改めてNHK放送技術研究所におじゃましました。

はじめに1階の技研講堂にて、同研究所 研究企画部の 藤井亜里砂氏 よりNHK放送技研の概要を紹介いただいた後、シアターにて8Kスーパーハイビジョンの参考映像として、ロンドン五輪・リオのカーニバル等の映像を視聴しました。委員の中には初めて8K映像を体験する人もおり、次のような感想が多く聞かれました。

①大画面に堪えられる超高精細

 オリンピックの会場にいる観客やマラソンランナーの顔がひとつひとつ良く見える。見せたいものにフォーカスを合わせたりズームインする、といった従来の映像手法ではない、「そこにあるものが全部見える」という新種の映像とすらいえるものが見えた。

②スピードのある動きに対応

 リオのカーニバルで激しく動く人物や、オリンピック100メートル走の動きなど、大画面で超高精細なのに激しい動きに全くチラつきがない。圧倒的な臨場感と迫力があった。

次いで参加者を二班に分け、別室にて「ハイブリットキャスト」と「直視型85inch&145inchディスプレイ」について説明を受けました。
 直視型ディスプレイ上のSHV映像は、新聞レベルの文字情報量を極めて鮮明に映し出すことができるほどのものでした。急速に進化を続けている今のスマホやタブレットと高精細画像との連動に、委員の関心がかなり高かったようです。

 最後は会場を7階に移し、同研究所 研究企画部 副部長の 村山研一氏 に参加頂き、全体に関する質疑応答を行いました。

 当初、委員の中には「CMはようやくHD(2K)に移行したばかりなのに、4Kや8KのCMに特別な意義があるのか」といった疑問も一部ありました。しかし、8K映像の特色である圧倒的な臨場感や実物感を体験した後は、スクリーンやTV画面といった境界すら忘れさせる映像の存在感に、次世代の映像コミュニケーションのヒントを垣間見た、といった感想が多く聞かれました。

 韓国では2013年から試験放送が始まっており、NHKでは9月よりハイブリッドキャストのサービスが始まりました(利用には対応TVが必要)。 デジタルテクノロジーの世界では、極端な話ネット環境とプログラムがあれば、すぐに新しい技術の仕組みを発信することができます。まだおぼろげに見えていた4K,8K,ハイブリッドキャストなどの社会への浸透は、予想以上に早く進むかもしれないとの意識を新たにし、研究会を終了しました。

最後に、委員会のために特別に場を設けていただいたNHK放送技術研究所様に改めて御礼申し上げます。

以上

文:勝田正仁(技術委員会委員長)
素材提供:NHK放送技術研究所

本研究会に関連する詳しい情報は、以下でご覧になれます。

・NHK 放送技術研究所
http://www.nhk.or.jp/strl/